2021.10.14

「読みやすい文章」とは

以前、eラーニングの問題制作に携わっていた時の話です。
「文章の要点をまとめなさい」という問題で、どうしても「正解なのにしっくりこない」文章がありました。
これがなぜなのか分からず、自分なりに作った選択肢と見比べてみました。

その結果、「読みやすさ」には主語と述語、そして修飾語のバランスが重要なのだと考えるようになりました。

例をあげてみましょう。
童話「桃太郎」をまとめた、以下の2文を読み比べてください。

例1)桃から生まれた桃太郎は、おじいさんとおばあさんに育てられ、きび団子で仲間にした犬・猿・雉とともに、鬼ヶ島の鬼たちを懲らしめた。

例2)桃から生まれ、おじいさんとおばあさんに育てられた桃太郎は、犬・猿・雉をきび団子で仲間にし、鬼ヶ島の鬼たちを懲らしめた。

いかがでしょうか。どちらも中身は「桃太郎」のストーリーをなぞり、要点としては正しいものですよね。
ただ、なんだか例2の方は、目が滑る…というか、文章が頭に入ってこない印象を受けませんか?

その原因は「桃から生まれ、おじいさんとおばあさんに育てられた桃太郎」という、「修飾語マシマシの主語」にあります。
主体である「桃太郎」という言葉が出てくる前に、余計な修飾語がありすぎて、文章全体がぼやけてしまっているのです。

このような「目が滑る」文章。皆さんもどこかで、目にしたことがあるはずです。
中学や高校の「英語」の授業を思い出してみてください。少なくとも私は、関係代名詞を習ったあたりで、こうした「修飾語マシマシ」な訳文を作っていました。

例)The tree which stands by the road is very old.
訳)その道路のそばに立っている木はとても古い。

主語に関係代名詞が係っているだけで、このような頭でっかちな直訳が生まれてしまいます。語順に特別な理由がなければ、「とても古い木が、道路のそばに立っている」と読み替えるだけで、随分、分かりやすくなりますね。

では、「主語には修飾語をつけないほうがいいのか」と思われるかもしれません。
ここで、もう一つ「桃太郎」の例を見てみましょう。

例3)桃太郎は、桃から生まれ、おじいさんとおばあさんに育てられ、犬・猿・雉をきび団子で仲間にし、鬼ヶ島の鬼たちを懲らしめた。

いかがでしょうか。「桃太郎」に修飾語はなくはっきりしています。しかし、その後にいくつもの文章を加えた構造になっているせいで、台無しです。

この「加えた文章」は、ほとんどが並列関係で、その中に「重要なポイント」が埋もれてしまっています。
そのせいでダラダラと「何が言いたいのか分かりづらい」文章になってしまいましたね。

このように、構造・バランスが少し違うだけで、文章の「分かりやすさ」に大きな差が出ます。

弊社のeラーニングでは、正解・不正解に関わらず、選択肢にもこだわって作成しています。是非、一度ご覧ください。

Witten by Y.Nakai


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