2022.10.17

eスポーツで非認知能力の向上

eスポーツとは、エレクトロニックスポーツの略で、スマホやパソコン、テレビなどの電子機器を用いたゲームにおける対戦をスポーツ競技として捉えた名称です。ゲームと聞くと、それだけで懸念を示す保護者や教育関係者も少なくないですが、eスポーツが非認知能力の向上に一役買うという研究データがあるのです。

まずはコミュニケーション能力の向上です。eスポーツをプレイしていく中で、チームメイトに対して問題の提案や解決策の思案など、ほぼ常に何かしら話している状態にあることが多く、特に初対面の人間とうまくコミュニケーションをとっていかなければゲームを有利に進めていくことが難しく、必然的に能力の向上が促されるそうです。「北米教育eスポーツ連盟(NASEF)」の研究により、eスポーツはコミュニケーション能力の向上に寄与することがわかっています。

またeスポーツは思考力や判断力、表現力等の養成に役立つことも期待されています。※経済産業省e スポーツを活性化させるための方策に関する検討会(2020)「日本の e スポーツの発展に向けて ~更なる市場成長、社会的意義の観点から~」 より

eスポーツには「課題をどうやって攻略するのか」という先を見通す思考力、より良い手順に気づく判断力、表現力が必要です。とくにデジタルゲームは、自分のアクションに対するフィードバック(反応)が即座に行われるため、瞬発的な対応能力が鍛えられるとも言われています。e スポーツを教育の場面で活用した場合に得られる効果などは、今後の研究が期待される領域と言えます。

そして日本の教育現場でもeスポーツを取り入れた実践の事例があります。大阪市立新巽中学校では、総合的な学習の時間にeスポーツを取り入れる活動を行っています。そこでの狙いは、やはり非認知能力の向上です。新巽中学校では2017年度に育成したい非認知スキル(・内発的動機・自己有用感など)を「しんたつ11のスキル」としてルーブリックにまとめ、eスポーツを取り入れたプロジェクト型学習と教育持続可能な開発のための教育(ESD)を開始しています。

さらにeスポーツ×教育といった分野に早期から取り組んできたのが先述したNASEF です。NASEFとは北米教育eスポーツ連盟(North America Scholastic Esports Federation)の略で、2017年に設立された新しい団体です。拠点は米カリフォルニア州ですが、日本でも2020年、NASEF JAPANが設立されており、高校生を対象として生徒たちの成長に寄与し、社会で活躍する人材育成の支援を目指しています。eスポーツを通じて学習や教育を効果的に推進することを堅持していることが特徴です。

近年、eスポーツを行う部活動の浸透や、学生を対象にしたeスポーツのイベントが開催されるなど、eスポーツは教育業界内で目覚ましい発展を見せています。近い将来、教育現場で当たり前のように、eスポーツが見られる日がそう遠くないのかもしれません。

Written by S.Fujiwara


日々の学習と社会を繋げるデジタル教材。
小さな気付きを好奇心に変え、学ぶ意欲を創造する


タブレット・PCで自宅で手軽に学習できる
小~高各5教科対応オンラインドリルはコチラ