2024.05.01
前回より、教育コラムのテーマが2024年度用に変わりました。
本年度は、ナスピアにおける『教材の作り方』を切り口に、各コラムニストがお届けします。
今回のコラムは、弊社のeラーニング「BASIC.StudyCamp」の教材制作について。
こちらは、高校までとは大きく異なる「大学での学習に必要な力」を、入学前に身に着けさせるためのサービスです。
主に新聞記事を使い、時事問題をテーマとした「聴く力」「読む力」…といった、「社会人基礎力」とも呼べる8つの力を養います。
そのため、「単純な5教科ではない専用の教材」を作っています。
問題を解くために知識は必要なく、記事をしっかり読めば、正解できる設計ですが、簡単には正解できない「仕掛け」を用意しています。今回はその中から2つを取り上げます。
お時間があれば以前先輩が記した、確認テストに触れたコラムも合わせてご覧ください。今回の「仕掛け」にも関係する内容です。
1つめは、学生が今まで培った解答のテクニックを、通じづらくしている点です。多くの学生は、「先に設問を読み、選択肢を消去法で判断する」という時間効率の良い解き方を使いますが、記事の一部だけでは、消去法が成立しない問題を混ぜてあります。
これは、大学入学後のレポート・研究など、収集した情報をすみずみまで読解しなければならない学習への準備にもつながっています。
特に、「要約を考える」系の問題ではそれが顕著です。要約は文章全体から最低でも「要点が含まれる」ことに加えて、他の段落との「比重」まで含めて「最も適切なもの」を選ばせています。つまり、「あながち間違いではない/より正解に近いものがあるから誤り」という選択肢を混ぜているのです。
2つめは、ずばり「時事を扱った新聞記事」という点。前述のように文章全体を把握しなければならないのに、学生の多くは興味が薄く・小難しいタイプの記事を、読み慣れていないようです。
そのせいか、そもそも読み飛ばす学生も少なくなく、学習の取り組み姿勢を測る仕掛けになっています。
付け加えるなら、記事には事実(ファクト)部分だけではなく、記者が持つ思想が反映されている箇所もあるので、それを混同していないか確認する選択肢も設けています。
しっかり読みさえすれば正解できるが、それを怠る学生をあぶりだす「仕掛け」。これは、単純な引っ掛け用ではなく、eラーニングの「計測」まで意識した技術です。
例えば、「解答時間」の計測結果を分析に使うことで、間違えた学生が「効率的な解き方をして選び損ねた」のか「そもそも読まなかった」のか、はたまた「しっかり読んだが間違えた」のか、という原因の細分化まで可能になります。
「eラーニングの強みを活かせる作問」
これこそ、ナスピアが重視する「教材の作り方」といえるでしょう。
Written by Y.Nakai
新聞記事を使ったeラーニングで「社会人基礎力」を養成
独自に定める『8つの力』を身につけよう
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