2021.08.20
国語の学習では、小学校から「説明文」「論説文」を取り扱います。
当然、学校の学習で使用するものは、起承転結や論理展開がしっかりとした「お手本」となる文章です。
しかし、ひとたび社会に出れば、世の中は「正しくない論理」にあふれています。
ただ間違っているだけなら良いのですが、中には意図的に「正しくない論理」を使って、自身に都合の良い結果を導こうとする場合もあります。こういった場合は、一般的に「詭弁」と呼びますね。
ここでは、日常生活で良くみられる2種類の「詭弁」について触れていきたいと思います。
一つ目は「論点のすり替え」です。
論じている内容とはちがう話題(主題)を提示することで論点が変わってしまう、というものですね。
例:
母「どうしてテストの点数が悪かったの?」
子「でもA君よりも良かったよ。」
母が尋ねる「テストの点数が悪かった理由」(例:勉強していなかった、問題が難しかったなど)に対して、子の回答は「A君よりも良かった(だからそんなに悪くないよ)」というもの。
また、「どっちもどっち論」も、この詭弁に含まれます。
例:
母「遊んだらきちんと片付けなさい。」
子「お母さんだってこの間、掃除機が出しっぱなしだったよ。」
母の「片付け」の指摘に対して子も「母もできていない」という回答をしています。
「あなただってできていないのだから、お互い様で、指摘する資格がない」という結論への誘導ですが、「子が片づけをしていない」という問題は、解決されません。
もう一つは「ストローマン」と呼ばれるもの。
ある主張について、故意に曲解し、その曲解した主張を否定することで、あたかも論破したかのように見せかける手法です。
例:
母「早く寝なさい」
子「早く、というけれど、夜7時に寝ようと思ったら、宿題もできないよ」
母の「早く寝なさい」という指摘に対し、子は「早く=19時」という極端な例を取り上げて、それを否定したことで、論破したように見せかけているのです。
よく考えてみれば、いずれも「言い訳をするな」「揚げ足を取るな」「屁理屈をいうな」というレベルの会話です。
しかし、例とは逆に我々が子どもからの鋭い指摘に対して、このような「詭弁」で乗り切っていませんか?
大人のズルさを体験するのも社会勉強ですが、間違った論理ばかり披露していては、子どもの論理的思考力に偏りが出ます。
困ったことに、信頼できるメディアですら、こういった論調の記事がゼロというわけではないのです。
弊社の「BASIC.StudyCamp」では「読む力」として文章の要点や主張を正しくとらえる問題を、「調べる力」として情報の信頼性に関する問題を取り扱っています。
現代社会にあふれる情報と文章から、その本質をとらえる訓練が必要なのだと考えます。
Written by Y.Nakai
調べ、考え、答えを導き出す。時事ニュースを通じ
自分の意見を導き出し発表できる力を身につける