2022.06.24
ごく普通の言葉なのに変にイラつく。そんな経験はありませんか?
わかりやすい例が、「宿題やったか?」でしょうか。
一度でもこの言葉をかけられたことがある人なら、ご理解いただけると思います。
そんな言葉は含まれていないのに、「責められている」ニュアンスをひしひしと感じたのではないでしょうか。
しかし、親になって、同じ言葉を投げかけてしまった人も、また少なくないように思います。それも、無意識のうちに、子どもを責めるつもりなんてなく。
要は、言葉選びや言い方によって、すれ違いは簡単に起こってしまう、ということです。
特に言外のニュアンスというのは、そもそも言語化できていないわけですから、「意志不通」にすらたどり着いていない不十分なコミュニケーションといえます。せめて、言語化した部分を曲解されないように、受け手の「負い目」や「コンプレックス」を刺激しない工夫が必要です。
先の例でいえば、宿題を終わらせていなければ「宿題をせずに遊んでいた」という負い目を刺激し、すでに終わらせていたとしても「宿題もせずに遊んでいると思われている」という評価が感じられるせいで、コンプレックスを刺激しがちです。
これは、どのパターンでも機嫌を損ねやすい「悪い訊き方」と言えるでしょう。
このような場合について、私なりに、一つ提案したい話し方があります。
「○○をやったか、訊いてもいい?」 です。
この場合、求めている返答は「訊いても良いか/悪いか」となります。どちらかと言えば「今話しかけてもいい?」に近く、追及するニュアンスが、随分薄くなったと思いませんか?
こうして、論点をずらし、言外のニュアンスを操作するテクニックは、以前コラムで書いた「詭弁」に通じるものがあります。
もう一つのメリットとして、攻撃的でない感情を込めやすいことが挙げられます。 「○○をやったか?」という、「追及」しかない会話では、どうしても攻撃的な感情を伴いがちです。
しかし、この訊き方であれば、攻撃的でない感情、例えば「楽しい時間に割り込む申し訳なさ」や「心配」を込めやすいはずです。
コミュニケーションにおいて、言葉が短ければ短いほど、言外のニュアンスを解釈する余地が増えてしまいます。LINEやTwitter等のSNSの隆盛によってコミュニケーションの短文化が進んでいる今、言外のニュアンスによるすれ違いは起こりやすくなっているといえるでしょう。
それを防ぐために、弊社では、会話よりもさらに情報量が少ない「チャット」に、感情を付け加えるアイデア企画が持ち上がったこともあります。
小さな工夫を重ね、より良いコミュニケーションのあり方を考え続けることで、場所や相手に関係なく━取引先の社長でも、教育現場や家庭の子どもが相手でも━より良い人間関係の構築につなげられると考えています。
Written by Y.Nakai
日々の学習と社会を繋げるデジタル教材。
小さな気付きを好奇心に変え、学ぶ意欲を創造する