2022.07.22
展示会等でお客様に「初回正答率がですね」とお話すると、「何正答率ですか?」と聞き直されるケースがあります。読んで字のごとく、初めて問題を解いた時の正答率を指す言葉なのですがあまり一般的ではないようです。
先日とある高校の管理職である先生とお話する機会がありました。その高校はここ十数年で一気にレベルが上がったのですが、その理由の一つが徹底的なデータ分析なのです。
毎日数回の小テストがあり、それを数日おきに集計・分析を行っておられるそうで、
・教科ごとの成績
・単元ごとの成績
・クラスごとの成績
などに分類し、過去の最も成績が良かった年のデータと照らし合わせて授業内容や補修に手を加えるそうです。当然学び直し後のテスト結果でテコ入れが功を奏したかどうかのチェックもされているのですが、現在ではこなれた状態となっているため成績はかなり向上するのだそうです。
更には共通(センター)テストの結果と学内データと照らし合わせて、願書を出す大学の決定までされているとの事でした。
学内のデータの元となっている小テストの一部をe-learning化したいとの話になった時に、まず必要なデータは「初回正答率」であり「最終正答率」だねと先生と意気投合したのですが、実はe-learningのプラットフォームによっては回答データを上書きするものが少なくありません。弊社では学習データは全て残しておく事は基本的な考え方なのですが、システムの問題でそれができないプラットフォームはまだ多数存在するのです。「初回正答率」という単語が聞きなれないのはこのような事情もあるのでしょう。
企業研修だと最終的に80点以上になればよい。というような考え方があるのですが、その流れを学校現場に持ってきてはいけません。
何があって80点になったのかという課程のデータが必要なのです。
上述した高校ではテコ入れ授業や補修の内容や教え方が「確立」されているとの事でしたが、この「確立」の中にはデータ分析結果を理解し、伝え方を試行錯誤された先生方の教える力の向上が含まれているはずです。
補習は受ければ成績は上がって当然です。問題はどれだけ上がったかなのです。
上がり幅が2倍になるのか1.5倍で留まるのかは先生の力量なのです。
どう教えればどうなるのかを可視化できるデータである「初回正答率」「最終正答率」に市民権を与えられるよう今後も働きかけていきたいと考えています。
Written by S.Seki