2023.01.16
教育現場のホワイト化。最後は「外部リソースの活用」です。
ようやく学校現場でも「働き方改革」の一環として教員の負担軽減が始まりました。「教育現場の「ホワイト化」を目指す施策を考える -対策の現在-」でも述べたとおり、教員の本分はあくまでも授業を行う事で、役割分担を再構築することが重要です。
クラブ活動は経験者にお願いするべきですし、保護者対応は事務担当者が教員と連携して行うべきです。進学相談もキャリアカウンセラーなどが本来は請け負うべきものでしょう。そう、外部リソースを頼れば良いのです。
これまでの教員はこれらのすべてを自分達で何とかしようとしていたため、授業の質を向上させるためにスキルを磨く時間を取れませんでした。これは教員にとっても、児童や生徒にとっても、そして日本という国家にとっても大きな損失です。
なにしろ世界の教育はこの30年で大きく変わりました。教育現場でICT機器が使用されるようになったのもそうですが、教員が児童・生徒に向かって一方的に話をするだけの一斉型授業以外の形態が増えました。これまでは一斉型授業用の能力である「ティーチング」能力のみで何とかなりましたが、児童・生徒同士があるテーマについて賛成と反対に分かれて議論を行う討論型授業、世の中の課題と向き合いどのように解決するのかという正解のない答えを探す探究型授業はそうはいきません。
特に2022年度から高校でも導入された「探究」は答えのない問いに、生徒達が持っている知識で取り組んでいくことが求められます。例えば「地域の防災力を上げるにはどうすれば良いか」などは教員も答えを持っていません。
「探究」では考え方の道筋を与えて自ら答えを導き出せるようにする「コーチング」能力や、集団による問題解決、アイデア創造等、知識創造活動を支援する「ファシリテーション」能力が求められます。しかし教員養成課程ではこれらの能力を教えているところは少数です。教員は自ら時間を作り出して学ぶしかありません。
この課題に対し、経済産業省はSTEAMライブラリを活用することを推奨しています。そしてライブラリに登録されている教材を使った授業実践例を創り出すために、取り組みをサポートする活動を行っています。弊社もその活動に参加しており2月末には最終報告を出します。
弊社の活動では学校が設けたテーマに沿って
などを教員と一緒に考え、追加教材を整備し、授業内容や指導方法をまとめる活動を行っています。そしてこの外部からの力添えは大変有効であると評価いただきました。
ここでも今できないことは外部リソースを活用し、いずれ自分たちだけでできるようになれば良い。その考えが重要なのです。
Written by T.T.Yamada
STEAMライブラリに登録されている、街づくりを
テーマにした学習教材
日々の学習と社会を繋げるデジタル教材。
小さな気付きを好奇心に変え、学ぶ意欲を創造する