2025.02.03

eラーニングの強みを活かせるシステムって?(後編)

前編に続き、今回は、eラーニングシステムが学習者のモチベーションの維持ドロップアウト防止に寄与できるのか?について。

eラーニングでの学習は、場所や時間の制約がなく自分のペースで学べるなどのメリットがある一方で、個人学習となるため、モチベーションの維持が難しい、途中でドロップアウトしてしまうといった課題があります。

これらの課題に対し、システムで対応できれば、学習者の学習状況に応じて効率的・効果的にサポートすることができます。授業や研修を実施する側(先生や研修担当者)の負担・困りごとを減らすことにもなるため、「e-GOAL」のバージョンアップでも力を入れています。

モチベーションの維持を考えるうえで重要になるのが、以前にも登場した自己決定理論における内発的動機づけです。

自己決定理論

内発的に動機づけられていると、学習自体が楽しくて自ら取り組める状態となりますので、ここにもっていけるのが理想です。

では、どうやって内発的動機づけを促すのか?
ゲーミフィケーションの要素を取り入れる方法があります。ゲーミフィケーションとは、ゲームの要素をゲーム以外の領域に応用することで、文科省が提唱する「主体的な学び」に効果があるとして期待されています。

ゲーミフィケーションデザイナーの岸本好弘氏は、自身の授業デザイン経験を元に、以下の「ゲーミフィケーション6要素」を提唱しています。

参考:岸本好弘「遊びと学び研究所」http://kishimotolab.org/ をもとに作図

田中祐樹氏・岸本好弘氏は、共著「心理学のゲーミフィケーション活用」において、この6要素を「合理的行動理論」「期待理論」「自律的な学習意欲のプロセスモデル」と組み合わせ、以下の図を紹介しています。

ゲーミフィケーションデザインフェイズ毎の期待

出典:田中 祐樹, 岸本 好弘(2022)「心理学のゲーミフィケーション活用」日本デジタルゲーム学会 夏季研究発表大会 予稿集, p.19 図2

図のように、適切なフェーズに適切な要素を組み込むことで、行動や認知・感情に影響をもたらし、モチベーションを維持するサイクルが生まれます。このサイクルを回すことにより意欲に影響をもたらし、外発的動機づけによる行動が内発的動機づけに変化するよう促すというわけです。

現在アップデート中の「e-GOAL」 でも、自身で目標を設定、ユニークなバッジや称号の付与、自身の成長を見ることができる…等々の要素を盛り込んでいます。
ただし、これらは内発的に動機づけられた状態で学習している学習者にとっては逆に妨げとなるケースもあるため、積極的に表示するか否かは選択できるようにしています。

また、これまで授業や研修を実施する側が手作業で行っていた、学習が滞っている学習者へのサポートが自動でできる機能や、個々の学習状況をみて言葉をかけられるような機能を準備しており、ドロップアウト防止につなげたいと考えています。学習者に寄り添って伴走してくれるサポーターがいるイメージです。

このように、システム全体でモチベーションの維持やドロップアウト防止にアプローチすることで、よりeラーニングの強みを活かすことができると考えています。

Written By Y.Koyama


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