2020.12.26
先日、マイナンバーカードと成績の管理を紐付けようという話が出て、ネット上がざわざわしました。折角なので、この話を何度かに分けて掘り下げてみましょう。
教育現場では「その教育によって、どれくらい伸びたのか?」が重要視されます。教育を受ける前と受けた後では、受講者の能力が上がったと認められないと、教育が成功したとは言えないからです。
ではどうやって確認を行うかと言えば、良く行われるのはテストです。教育を受ける前に事前テストを行い、教育を受けた後に確認テストを行うのが望ましいとされています。そして事前テストと確認テストの成績を比較することで、能力が伸びたかどうかを測るわけです。
ところが学校現場では、この手法が取られることはありません。授業が終わった後に確認テストを行うだけです。これだけでは「どれだけ伸びたのか」を測定することは不可能です。
これに風穴を開けたのが埼玉県の取り組みです。毎年4月に前の年に学習した内容についてのテストを行います。そして例えば小学校4年生でしたら、テストを受けた後に3年生の4月の成績と比較し、1年間でどの程度伸びたのかをチェックします。さらに、3年生の時のクラス単位で集計が行われ、他のクラスとの比較行われます。これは教員の指導方法をチェックするために行われていて、伸びが悪かったクラスを担当していた教員には、それに応じて、能力を伸ばすための研修が組まれる、という仕掛けがされています。
ですが本当はもっと短期間で実施した方が効果的です。これは児童生徒にとっても、教員にとっても、です。そこで登場するのが「学習ログ」の考え方です。テストや宿題をすべてデータ化してしまえば、それを分析することでもっと早く躓いている点を発見できるはずです。
でも「採点してからデータ化するのが大変」という声が聞こえてきそうです。いやいや、最初からデータにすれば良いのです。新型コロナウィルス対策によるGIGAスクール構想前倒しのおかげで、一人一台タブレット端末の配布がされました。テストも宿題もすべてオンライン化してしまえば、採点もデータ化の作業も不要です。最初からコンピュータがやってくれますから。
このデータを使えば個別の弱点分析も可能ですし、以前の似たような単元と比較すれば、授業後にテストだけでも、自分の授業でどれだけ伸ばすことができたのかを確認できます。しかも「私の感覚では、キチンと伸びています」などというふわっとした主観ではなく、数値という客観データによって。
以前、小学校6年生の宿題をオンライン化した実験の際に、担任の先生から「これ4年生の時からのデータを見てみたいです」と言われたほど、このデータは利用できます。
次回はこのデータをどうやって作るか、どうやって分析をするのかなどについて詳しく説明しましょう。
Written by T.T.Yamada
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