2021.01.30
今回は「相関関係」と「因果関係」の違いについて考えます。
まずはそれぞれの言葉の定義についてデジタル大辞泉で引いてみましょう。
「相関関係」とは「二つのものが密接にかかわり合い、一方が変化すれば他方も変化するような関係」となっています。
一方「因果関係」は「二つ以上のものの間に原因と結果の関係があること」となっています。
どちらも二つ(もしくはそれ以上)のものがあり、それらが関係していることがわかります。そのため、この2つを混同してしまっている例をよく見かけます。しかし、あくまでもこの2つは全くの別物です。
まずは「相関関係」から見てみましょう。これは2つのデータを見比べた際に、関連しているように見えること、を意味します。例えば夏に海辺の屋台でアイスクリーム、やきそば、おでんの売上を見てみます。やきそばの売り上げが増えるとアイスクリームの売り上げが増え、おでんの売上が下がる。逆にやきそばの売上が下がると、アイスクリームの売り上げも下がり、おでんの売り上げが増えたとします。
この場合、やきそばの売り上げとアイスクリーム売上には「正の相関関係」があり、逆にやきそばの売り上げとおでんの売上には「負の相関関係」があると言います。もちろんアイスクリームの売り上げとおでんの売り上げにも「負の相関関係」があります。
一方、「因果関係」は「原因」と「結果」の関係になっています。例えば歴史的事実などがそうです。サブプライムローンを無計画に拡大した結果、支払のできない人々が増え、その結果リーマン・ショックが起こりました。リーマン・ショックの結果、株価が下がり、不況になりました。このように、原因と結果が繋がっていることが「因果関係」の特徴です。場合によっては原因が結果を生み、その結果が次の原因となって…と繰り返していくこともあります。
やきそば、アイスクリーム、おでんの例で言えば、アイスクリームの売り上げが上がった結果、おでんが売れなくなったのではなく、気温が上がった結果、やきそばを食べる人が食後にアイスクリームも食べていたのかも知れません。逆に気温が低いと、やきそばを食べずにおでんを食べたのでしょう。気温が低いので、当然アイスクリームも食べません。
つまり、気温という共通の原因があって、それぞれの売上が変化していたというわけです。気温とそれぞれの売上の間に因果関係があるわけです。
相関関係と因果関係を取り違えると、冬にアイスクリームの売上を増やしたければ、やきそばの割引キャンペーンをすれば良い、という訳の分からないことを始めてしまいます。そういう場合は素直にアイスクリームの販促キャンペーンをしましょう。
「おでんのあとにはアイスクリームで口直し」
なんかも良いかもしれません。
Written by T.T.Yamada
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