2021.02.01

STEM, STEAM, STEAMS

教育業界では最近よく聴くようになった「STEM教育」または「STEAM教育」という言葉。これは2000年代にアメリカでスタートした学びの体系(教育モデル)です。
最初はSTEM(Science, Technology, Engineering and Mathematics)の頭文字を取り、科学技術についての教育を行おうという文脈でスタートしました。対象になっているのは科学、技術、工学、数学です。科学技術開発の競争力向上のためには、学校でこれらを教える必要があるという形でスタートしました。

その後、Aは追加され「STEAM」になります。AはArt(芸術:文学など人間の活動に起因する分野)を示します。近年ではさらにSportsのSを加えて、「STEAMS」と呼ぶ場合もあります。ただしここまで来ると、以前からあるいわゆる「リベラルアーツ」と何が違うのか?という疑問も生じますが…ちなみにリベラルアーツとは「人文科学・社会科学・自然科学の基礎分野を横断的に教育する科目群・教育プログラム」であると定義されています。

この教育モデルで学生に問われるのは、
「自分たちはどのように判断するのか」
です。教員が一方通行で教える、従来の一斉授業型ではなく、各教科・科目で学習した内容を使い、何らかの社会問題を解決するアイデアを出すなどのアウトプットを求められます。もちろんこれは社会の縮図でもありますので、答えが決まっているようなものではありません。自分たちで異論を重ねた上で、選択した結果を出すことが求められるのです。そういう意味では、以前に紹介した「トロッコ問題」なども教材として使うことができるでしょう。

ここでは、教科や科目に縛られない思考が求められます。日本でも大学入試に教科横断型の問題を出題しようという動きが出てきていますが、これもSTEAM教育が目指す
「答えのない問いに、どうやって立ち向かっていくのか」
の練習になっていると言っても過言ではありません。やはり答えの無い問題に立ち向かう能力が求められているのです。

この動きには大学入試を所管している文部科学省のみならず、経済産業省も注目しています。実際に
「未来の教室」事業
では、2020年度に「STEAMライブラリ」構築事業を開始しています。弊社も一つ、コンテンツを提供する予定になっており、現在、制作を進めています。新しく建て替えられた国立競技場を切り口に、都市設計の在り方を考え直すコンテンツに仕上げる予定です。

『「杜のスタジアム」にみる次世代都市づくり』
というタイトルで、理科・数学・社会・技術家庭・芸術・保健体育にまたがる様々な知識を総動員しながら考える探究型コンテンツになりますので、リリースされましたら是非お使いいただければと思います。

Written by T.T.Yamada