2021.03.21
著作権法では、第三十五条にて
「学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における利用に供することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、公表された著作物を複製し、若しくは公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。以下この条において同じ。)を行い、又は公表された著作物であつて公衆送信されるものを受信装置を用いて公に伝達することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該複製の部数及び当該複製、公衆送信又は伝達の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。」
と書かれていることもあり、
「教育現場では著作権は関係ない」
と考えている人が多いようですが、それは大きな間違いです。どこが問題なのでしょう。大きく分けると2つの点が重要です。
まず「その必要と認められる限度において」という部分です。例えば教材は児童・生徒が自分の分を購入する必要があります。教員が一冊だけ購入し、それをコピーして使わせるというのは、「必要とは認められない」範囲です。
これはインターネットからダウンロードした教材や、教材を作成するための素材でも同様です。
「自由に使えます」
と書かれていれば別ですが、著作権に関する記述をしっかりと読み、認められている範囲でしか使ってはいけません。
次に「その授業の過程における利用に供することを目的とする場合」という部分です。つまり「授業以外」では著作権を守れということです。学校説明会や職員会議、研究事例発表等は「授業」ではありません。例え利用するのが学校の中であっても、著作権法違反となります。
また、授業の様子を撮影してインターネットで公開するのも、NGの場合があります。その映像の中に教科書や、著作権処理が必要な写真・動画が大写しで写っていたとすると、著作権法違反です。
ではオンライン授業を行う場合はどうでしょう?例えば対面授業を行いながら、同時に遠隔地へインターネットなどを利用して送信する場合は、対面による授業が行われていますので、著作権法違反に問われることはありません。
一方、教員以外は全員オンライン、またはビデオオンデマンド型の授業の場合は、許諾を取らない限りは著作権法違反となります。
ですがそれだと遠隔授業が普及しませんので、「授業目的公衆送信補償金制度」ができました。これは一定の補償金を支払えば、著作物を適法に利用できるようにする制度です。今年度は補償金なしで利用できるようになっていましたが、2021年度からは一定額を支払うことで対面授業と同じ様に、著作権法を気にすることなく様々な素材を利用できるようになります。
ただし、あくまでも「授業」のみで、「授業以外のシーン」には適用されませんので、ご注意を。
Written by T.T.Yamada