2021.03.27
以前「プログラミング教育のキモ」の回で、自分たちが普段何気なくやっている動作を「順序」「反復」「条件分岐」という視点で捉え直すことで、プログラミング的な思考が身につくという話をしました。今回はそのアイデアをもう少し広げてみましょう。
実はとある展示会でYAMAHAの方と話をしていたときに気づかされたことがあります。それは
「音楽はプログラミング教育に最適である」
ということです。「芸術科目がコンピューター教育に最適?」と不審に思われる方も多いと思いますが、そういう話ではありません。プログラミング的思考のキモは「順序」「反復」「条件分岐」だと書きましたが、これらは楽譜の中に出てくる要素なのです。楽譜にはこれらがすべて揃っています。もうおわかりですね。楽譜を見ながら演奏するという行為は、楽譜に書かれた「楽曲」というプログラムを「演奏」という形で実行しているということなのです。
新しいプログラムを作るのは「作曲」という行為に相当します。そうです、音楽の時間にもプログラミング的な視点を持って授業を行う事で、プログラミング的思考を身につけることができるのです。
私もこの話を聴くまでは、プログラミング的思考を教えるには算数・数学や理科、一部社会科くらいかなではないか、と考えていました。でもこれで体育にも応用できます。球技でも器械体操でも、体の動かし方を考えることでプログラミング的思考を養えます。そういう商品も販売されています。
実は英語や国語でも可能です。その切り口は「文法」です。例えば英語。英語の文は
主語+動詞+目的語
など、その順番が決まっています。よく
「SV」「SVO」「SVOO」「SVOC」
などと、構文を覚えませんでしたか?これらは、その並びでなければ文章として成り立たないということを示していました。覚えるべき単語(語彙)はもちろん多いのですが、「順序」が存在しているというのはプログラミング的です。否定文や疑問文などの条件が加わると、「順序」も変化します。順序の変化によって様々なことが分かるのです。
ですから文法の授業の時に「プログラミング的思考」を少し意識させるだけで、英語の中でもプログラミング教育の実践が行えます。
ちなみに900年ほど前まで使われていた「古英語」には順序の制限がなかったそうで、例えば現代英語では
「We go there.」
でなければならない語順も
「There go we.」「Go there we.」
などでも良かったのだとか。
ちなみにこの語順の入れかわりの多いのが日本語です。特に文学的表現を追求し始めると、省略のみならず倒置法など、語順の入れ替えによって印象を強めようとする文章も数多く出て来ます。
次回はこの文法に関する話をしながら、国語科におけるプログラミング的思考の鍛え方について考えて行きたいと思います。
Written by T.T.Yamada