2021.10.08
以前「デジタル教材開発の考え方」の回で、
「デジタルにあった形に教案も教材も見直さないといけません」
という話をしました。今回はそれを受けて、ワークシートのデジタル化について考えてみましょう。
ワークシートはその授業や研修を進めるにあたって、学習者にやって欲しい内容を順番に提示する役目を負っています。学習者は提示された内容に沿って、調べる、考える、まとめるといった活動を行うことで、内容について理解していくわけです。
さて、ではこれをデジタル化しようと思うとどうすれば良いのでしょうか?当然、
「紙のワークシートをデジタル化して画面に表示し、そこにペンで書いていけば良い…」
というのは不正解です。これは単なる電子化であってデジタル化ではありませんし、これならば筆者は印刷して配布する方を選択します。
デジタル化ということであれば学習ログを取得し、何らかのフィードバックを学習者に返すことを前提としなければいけません。
そもそもワークシートの役割は、学習の手順や流れを示すためのものです。これだけを単純に考えると、単なるeラーニングで良い気もします。しかしワークシートには自分の考えを書くことで、頭の中を整理するという役割も求められています。つまり単純に動画を視聴し、確認テストを受けるeラーニングとは異なるわけです。
そういう機能まで含めて考えると、eラーニングにレポート作成機能のようなものを持たせ、かつその書かれた内容に対して何らかのフィードバックを返せる様になっているのが良いと考えられます。
さらに贅沢を言えば、授業や研修の流れと一致しているわけですから、指導案とセットになっているとより良いわけです。
指導案とセットになって授業の進行を示し、学習活動にフィードバックできる機能…これは本来のデジタル教科書に求められている機能ですよね。問題は、教科書会社はこれを作ることができるでしょうが、現場の教員が同じレベルとはいわないものの、1回の授業だけであったとしても教材研究をしっかり行い、それなりのものを用意できるのかという点になってきます。もちろん、使い易いシステムが存在することは前提条件となりますが。
実際に45分または50分の授業で、
①どういう活動を何分間行うのか
②その活動に対する評価ルーブリックは設定できているのか
そして何よりも
③どういう学習活動をログとして保存し
④そこからどのようなフィードバックを学習者に返すのか
など、クリアしなければいけない問題点は数多く存在するでしょう。①はこれまでもやって来ているはずですので、教員の方々は十分できるはずです。
問題は②です。これは③、④にも繋がっていることですので、デジタルならではの評価ルーブリックを改めて考える必要があります。次回はここを考えてみましょう。
Written by T.T.Yamada
日々の学習と社会を繋げるデジタル教材。
小さな気付きを好奇心に変え、学ぶ意欲を創造する
学習ログを取ることで、弱点分析や学習態度を分析する
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