2021.11.05
GIGAスクール構想で公立の小中学校には1人1台のタブレット配布が終わりました。現在はそれを活用するフェーズです。
しかし、知り合いの教員の話を聞くとかなり苦労しています。インターネットに繋いだ授業を行う場合、ポケットWi-Fiを4台持ち込んで接続しているそうです。つまり1人1台タブレットという環境が整ったにもかかわらず、ネットワークにきちんと繋がらないわけです。
弊社は2014年度に総務省が行った「教育分野における最先端ICT利活用に関する調査研究」にコンテンツを提供しました。外部から小学校の実証教室に専用インターネット回線を引き、2台の無線LANルーターをチューニングして設置しました。児童数は24名でした。
その状態でも、アクセスした際に画面が表示されるのに最大8秒程度かかる児童がいました。8秒だったらまだ許容範囲内でしょうか。しかし各教室の通信環境を整備しない限りは、全員がネットワークに繋がるような授業は行えないことはわかります。
現在の公立学校のネットワークにはいろいろと問題があります。各学校のネットワークは教育センターなどの教育委員会直轄の施設に設置されたファイヤーウォール(F/W)を経由してインターネットに接続しています。大きな自治体になればなるほど校数も、当然児童生徒数も増えますから、F/Wの能力や外部との回線容量を圧迫しやすくなります。本格的に使おうとすればするほど通信容量も増えますから、まともに繋がらなくなります。そのため、インターネットに接続する授業を行う際には4台のWi-Fiルーターを持ち込んで…という運用になるわけです。
これを回避するには幾つかの方法があります。まずは通信会社のSIM入り端末に変えることです。そうすれば学校内の無線LANルーターも不要になりますし、教育センターのF/Wや外部との接続回線容量も圧迫されずに済みます。
コンテンツフィルターは各通信会社の提供するものを利用します。通信速度の低下は通信会社側で対応してくれます。トラブルが起こっても教育委員会から担当者が出向いて…という運用が不要となります。
通信会社への月額使用料が必要になりますが、人件費まで含めて考えると費用はあまり変わらなくなります。問題はSIM対応端末が必要という点です。次回更新時には対応モデルに変更することをお薦めします。
もしF/Wや外部との通信速度は問題ないという場合にはローカル5GやプライベートLTE(ローカル4G)がお薦めです。設定の手間は無線LANルーターを利用する場合と比較して格段に減るはずです。これもSIM対応端末が必要ですので、次回更新時での対応です。
Wi-Fiモデルでというのであれば同時接続数が100台を越え、かつ屋外でも通信ができるモデルをお薦めします。最大500mくらい電波が届きますので、校庭でも端末が利用可能となります。
1人1台は繋がらないと意味がありません。最適な通信環境を考えましょう。
Written by T.T.Yamada
「月の動き」「星座の動き」「月の形の変化」などを
わかりやすく解説