2022.02.18

インストラクショナルデザイン その2(教材開発)

前回はインストラクショナルデザインの概要を説明しました。今回は実際の教材開発について紹介しましょう。

授業の設計においては「どのように」「どの程度」変化させるのかが重要だと前回書きました。これはとりもなおさず
「到達目標を明確にすること」
を意味しています。例えばここで到達目標を
「四則演算ができるようにすること」
としたとしましょう。しかしこの到達目標はさらに細かく分解可能なことに気が付くはずです。
「足し算ができること」「引き算ができること」「かけ算ができること」「わり算ができること」「桁の繰り上がり繰り下がりがわかること」「計算の優先順位を理解していること」
などが存在しているはずです。
つまり到達目標をより細かな目標に分解していくことが求められます。

そして十分に細かく分解できたら、まずはテストを作成します。
「この問題が解けたなら、予定していた到達目標をクリアできている」
という指標を作るのです。テスト問題は1つの到達目標に対して1問である必要はありません。複数のテスト問題を用意しても構いませんが、その場合は何問以上正解すれば目標に到達しているとみなすかを設定しておきます。

続いて行うのは先に設定した細かい到達目標を、どの順番に学習するのかを決定することです。学校の教科書の目次は、この学習順序をしっかりと意識して作成されています。同じ教科の教科書でも教科書会社毎に少しずつ目次の順番が異なりますが、そこが各会社のオリジナリティであり、著作権として守られるべき部分でもあります。

企業の場合は身につけて欲しいスキルを細かく分解し、分解したスキルが身についたかどうかを確認するためのテストを作成します。その後、どういう順番で細分化されたスキルを学習させていくのかを考えるわけです。

もちろん学校の場合でも企業の場合でもクリアできていない目標が存在している場合はその先に進ませてはいけません。クリアできていない目標があるにもかかわらず先に進めるということは、前提となるスキルや知識を得ないまま学習していることになりますので、基本的には学習しても身につかない可能性が大です。
「分数のできない大学生」
というのが一時期流行りましたが、小学校の算数をクリアできていない状態で年齢だけが上がってしまった結果なのです。そういえば今は「%がわからない」とか言われたりもしますね。

対面授業や研修では教師や講師がいますので細かくサポートすることも可能ですが、eラーニングにおいてはそういうことができません。ですので、より細かに目標とクリア条件を設定しておく必要があります。もちろん教材の種類も、より自学自習で修得しやすいようにしておく必要があります。

次回はこうして作成した教材の評価と改善について紹介します。

Written by T.T.Yamada


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