2022.03.25

「どうして勉強をしなきゃいけないの?」に対する完璧な回答

 私は公立小学校の教員として長年勤めておりました。

「どうして勉強をしなきゃいけないの?」

この質問は、子どもからおそらく20〜30回ほど受けました。その節は「人生の選択肢が増えて〜」とか「将来のために〜」など薄っぺらいことを恥ずかしながら述べておりました。

この質問に対する回答

 結論を言うと、「この言葉です」というような回答はありません。完璧な回答と言っておきながら、申し訳ありません。ネット記事・動画サイトや書籍等、たくさんの方が様々な回答をされています。どれも間違いではないと思いますが、正解ではないとも思うのです。私はやはり「回答がない」というのが一番しっくりくるのです。※それらを否定する気は全くありません!悪しからず‥。

なぜ回答がないのか。

 それは聞いてくる子の立場が違うからです。

(幼い子が)「急にお母さんやお父さんが勉強勉強って言い出した、なんで?」という素朴な疑問かもしれません。勉強が苦手で、学校に嫌気が差している子の場合もあるでしょう。一時的に成績が落ち込み、ショックを受けている子の可能性もあります。はたまた親や教師への反発心を持っている子もこういうことを言います。Youtuberやスポーツ選手などを見て「勉強しなくても成功している人がいる」と思っている子だっていますし、単に親や先生へコミュニケーションの一貫として聞く子もいるでしょう。
 
 親や教師に反発している子に「将来のため」と伝えたり、もともと勉強が苦手な子に「勉強って楽しいこと」と伝えたりするのは逆効果な気がします。一人一人の立場が違うのに「これが絶対」という回答などあるはずがないのです。

回答がなければ何も言ってやれない? 

 だからと言って何も力になれないのかと言われれば、それは違います。子ども一人一人の立場を考えて話すこと(話し合うこと)が大切なのです。そもそもこの質問をされるのは、聞き手が「教育者」という特別な立場だからです。簡単に言えば「親」か「先生」。逆にこの質問をされた際は、教育者として子どもと向き合う絶好のチャンスなのです。正解を決めつけて意見を伝えるのではなく、「なぜこの質問をしてくるのか」を自分なりによく考え、その子に合った回答をしましょう。たとえ、回答が出ずとも相手の思いをきちんと受け止めることが大切です。
 これは「カウンセリングマインド」と呼ばれる、カウンセリング的に人と関わろうとする態度です。近年、文部科学省も一般教員がカウンセリングマインドを持ち、生徒をサポートすることの重要性を説いています。大人が人間関係を大切にする姿勢を持つことこそ、この質問に対する一番の回答なのかもしれません。

 以上が「どうして勉強しなきゃいけないの?」に対する完璧な回答です。大切なことは、答えを決めつけず、子どもと真剣に向き合うことです。弊社もそんな子どもたちと真剣に向き合いながら、さまざまな教育コンテンツを提供してまいります。

Written by S.Fujiwara


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