2022.10.03
10月~11月のコラムのテーマは「非認知能力の育成を考える」。全4回の初回は「環境」について考えます。
非認知能力とは、テストなどでは数値化する事が困難な能力を指します。
自己認識能力や意欲、セルフコントロール、社会的能力など多岐にわたり研究者たちによって定義づけられています。
このような非認知能力は幼少期に楽しみながらその能力を育むことが効率的であるとの意見が多く見受けられます。
以前のコラムに記述しましたが、経営者・指導者・プロデューサーといったポジションの方は非認知能力、特に行動力や判断力、想像力、粘り強さ、リーダーシップなどに特に秀でていると、起業家やプロデューサー200名以上を対象としたインタビューで明らかとなりました。またそれらの能力はやはり幼少期に育まれたものであることも同時にわかったのです。
幼いころの環境が要因となり思考要因が生まれ、その思考要因が強ければ強いほど行動に移す力が増す。そこにリーダーシップや新たな「コト」を生む力が備わった起業家は、時にはインタビューを行った学生にはまだまだ理解しづらいとも思える高い理想を、粘り強く説明してくれたのでした。
では非認知能力をある程度の年齢以降に取得することは叶わないのでしょうか。例えば社会的能力の括りの中にある「リーダーシップ」で考えてみます。
以前とあるチームで特に役職も持たず勤務していた頃の話です。とある事情で組織のリーダーが不在となる状態に陥った際にそのチームの動きは当然のごとく鈍くなりました。そんな時とある方から言われた2つの言葉を30年ほど経った今も鮮明に覚えています。
・リーダーシップはリーダーだけが発揮するものではない
・意見が対立し結果間違った方向に進んだ時、間違った方向に進んだ原因となる提案を行った者より対立した(結果的に正解と思われる)提案を取り下げた、あるいはその提案を通しきれなかった者の罪の方が大きい
リーダーシップはリーダーが発揮するとより効果的だが、メンバーが発揮してもその効力はある。これがすっと自分の中に入ってきたのです。そしてチームを導く時に声の大きい者の提案だけでなく全てのメンバーの意見を吟味し正しい提案を取り上げることが結果成功に結び付くのだと知りました。メンバー全員で2日程徹夜したのは今となればいい思い出です。
このようにリーダーシップを育成する環境は大人になってからでも構築可能なケースも存在します。上述のような重要ポイントをグループ全体に周知し、それぞれに理解と実践を促していくことで、構築していくことが可能と考えています。
これから我々が制作する教材の中には、学習の効果が上がる非認知能力を向上させるエッセンスを散りばめたいと考えています。
Written by S.Seki
日々の学習と社会を繋げるデジタル教材。
小さな気付きを好奇心に変え、学ぶ意欲を創造する