2022.11.12

モチベーションは育成できるのか

非認知能力シリーズの最終回は「モチベーション」をテーマに取り上げたいと思います。過去の教育コラムにも「学習意欲」を高める工夫について述べたものがありますので、合わせてお楽しみください。
「モチベーション」は、一般的には「やる気」のような意味合いですが、それを育成する…とはどうすればよいのでしょうか。

「長時間高く保てる」「どんなものに対しても高められる」「他人のモチベーションを高められる」…方向性は違えど、どれも「モチベーションにまつわる能力」といえます。
つまり、「モチベーションをコントロールする力」の育成と捉えてよいでしょう。

これは、いかに「脳を騙すか」という話です。
モチベーションの語源である「動機付け」について、アメリカの心理学者エドワード・デシとリチャード・ライアンは「自己決定理論」で以下のように提唱しています。

基本的にモチベーションは、「自分から欲する場合」に高く、「他者から強要される場合」に低くなります。

では、どうやって脳を騙すのか。「内発的動機付け」、つまり「楽しいと思っている」状態で目的の作業に切り替えることです。
この方法を実践したのが「朝学習」です。朝のHRで簡単なクイズ等を解かせ、脳を活性化させてから授業を始める、という取り組みです。

教育クリエイターの陰山英男氏はインタビューで、朝学習の時間と内容について、以下のように回答しています。

「時間は10分、15分程度。内容は、短時間でパッとできるものがいい」
「百ます計算や音読。漢字や地理、歴史などの暗記も向いている」
「ポイントは、集中してスピーディーに行うこと。」

引用:朝日新聞EduA

「短時間でできること」をこなし、達成感を得た脳は「楽しい状態」になります。これにはモチベーションを高める技法が集約されているとは思いませんか?

これをeラーニングという分野に当てはめたとき、 関連分野の「デジタル副教材」が効果的と考えます。例えば、「百ます計算」の後「英単語を覚える」よりは、「数学の問題集を解く」方が、脳も騙されやすいからです。
eラーニングなら「シミュレーション」や「動画」など、各分野にすでに膨大な数のコンテンツがあります。そして、その中には「勉強」という切り口には向いていなくとも、子どもたち(学習者)の興味関心を引ける、非常に効果的なものもあります。

この技法は、日常的にこなして「ルーティーン」化させることで、より効果を高められます。「それをしなければ気持ち悪い」という内発的な動機に結び付くためです。
しかし、一朝一夕で身につくものではありません。教育者が工夫し、自然に身につけさせる…そして、理解できるようになったタイミングで、理論を自覚させることが重要ではないかと思います。


今回まで、執筆者それぞれの切り口で、全4回にわたって「非認知能力」についてコラムを掲載しましたが、いかがだったでしょうか。
次回からは「教育現場のホワイト化を目指す施策を考える」というテーマで教育コラムをお送りします。

Written by Y.Nakai


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