2024.02.01

いつでも遊ぶ心を!出張先で時間がなくても現地を満喫してみた Vol.03

前回はコチラ

ここまでなんとかして時間を作り観光したりおいしいものを食べたりした話でしたが、最終回は仕事のお話です。日本で働きたいと考える現地の方の採用面接が主たる目的であった今回の出張。弊社で業務に携わる上で必要なスキルと日本語でのコミュニケーション能力を面接で判断する事になるわけですが、そこで最も印象に残った方の話をしたいと思います。

過去の経験から韓国の方は日本語を話せるだけでなくイントネーションまで違和感なくしゃべれる方が多いと思っていましたが、その中でもとびぬけた日本語力の持ち主と面接する機会がありました。言われないと日本人だと疑わないレベル。私も思わず身を乗り出します。

話が少しそれます。外国人を採用する際に目安の一つに日本語検定の資格の有無があります。多くの場合は2級相当を求められているように思います。

で…
この日本語検定2級ですが、日本人が受験した場合受かるのか?と常々疑問に思っています。例題を見る限り難易度かなり高めです。私の場合は語彙問題が特に難しく感じました。日本人が日本語検定に受からない(かも知れない)状況を打破すべく一つ提案が!

「国語」を「日本語」としてみてはいかがでしょう。
「国語のテスト55点しかとれなかった」よりも
「日本語のテスト55点しかとれなかった」の方がダメージが大きく勉強に身が入るのではないかと思ったり(笑)

話を戻します。
彼の日本語の上手さには、その根本に日本語を学習するモチベーションがしっかりあるはずだと思ったのでそこを聞いてみました。すると彼は新海誠監督のアニメが好きだと言ったのです。

正直に言うとそのありがちな回答に少しがっかりした自分がいました。私はこれだけ日本語を話せる彼からはもう少し違う理由が出てくるはずだと勝手に期待してしまっていたのです。しかしその後に続いた彼の言葉に私は感心する事になります。

彼は新海誠監督の「言の葉の庭」という作品が好きで、その作品の核となる万葉集のとある短歌を理解したかったと言いました。短歌や詩の字面を翻訳したとしてもその奥の繊細な想いまでを反映できるとは思えない。日本語を(加えて歴史を文化を)理解する事で作者や登場人物の想いを理解したいとの事でした。

雷神の少し響みてさし曇り雨も降らぬか君を留めむ
雷神の少し響みて降らずとも我は留まらぬ妹し留めば

和歌で愛を伝えた時代までを学習の範囲とする事で独特の詩的な心理描写で我々を魅了する新海監督の狙いや想いまで理解したかったのでしょう。そこまでが学習範囲となると日常会話やイントネーションなどの面接突破ラインは彼にとって相当低かった事でしょう。
本当に素敵な面接であり素敵な出会いでした。

ちなみに「好きこそ物の上手なれ」の最上級を目の前で見られた私は、彼以降の審査基準を理不尽に上げないように必死でした(笑)

Written by S.Seki


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