2025.01.06

勉強する理由 – 自由研究のテーマ設定より -  vol.02

前回の私のコラムでは、学習と社会とのかかわりを明確化することが、勉強する理由の一つになるというお話をしました。今回は、恐らく最も純粋で本質的な「勉強する理由」について。「知りたい」、即ち「未知の探求」です。

例えばドイツの数学者ガウスは、研究成果を公表しないことがしばしばあったといいます。公表の有無に関わらず生涯にわたって研究を続け、数学や物理学等の発展に多大な貢献をしたガウスは、未知の探求者であったといえるでしょう。自らの未知の探求は、勉強を能動的なものに変え、その知を得ること自体が「勉強する理由」となります。

さて。小・中学校の夏休みなどに行われる 「自由研究」は、個別の知的好奇心に応え、子どもたちの未知を探求する機会と言えます。これを受動的に行う宿題で終わらせては、いかにも勿体ない。子どもたちの「知りたい」を探求し、「勉強する理由」をポジティブに体感できる機会とするのが理想です。

しかし、自由度の高い研究テーマ設定に戸惑うこともあります。この戸惑いに対応すべく、夏休みなどの長期休暇時には、教育関連のwebサイト等に自由研究のテーマ例が多数掲載され、自由研究用キットを山のように積む書店も。これらが個人の「知りたい」に見事合致するならいいのですが、そうでなければ「宿題のための研究・探求」となることは避けられません。研究なんてつまらない、面倒だといった固定観念も生じかねないでしょう。

では、どうしたらいいか。普段、子どもが不思議に思ったこと・知りたいと思ったことが生じたそのとき(子どもが「どうして〇〇なの?」などと質問してきたとき等)に、書き溜めておく方法があります。子どもにちょっと素敵な装丁のノートを「気になるノート」等と称して手渡し、都度メモしてもらってもいいでしょう。普段から子どもたちが好きなこと・興味のあることから派生する「未知」には、好奇心が生まれやすいもの。さらに望ましいのは、長期休暇を待たずとも、その「未知」に親子で取り組んでみること。「鉄は熱いうちに打て」で、興味のある学習は学習内容の記憶・定着に有効と考えられています。

他にも、探究を促す教材を活用する方法もあります。 弊社の「まなブリッジ!」デジタルワークシートの総合学習・探究では、種々の社会課題を紹介して模範解答のない問を考えてもらうつくりになっています。一方で、先述のような自然に生じた疑問を取りこぼさないことも大切です。子ども自身が「知りたい」を随時探求し、知を得る楽しさを感じてもらうことが勉強する理由となり、探求的な人材の育成につながると考えています。そして、自分ができないことを子どもに求めるのは控えたいもの。子どもたちの目に映る大人(私たち自身)が、自らの未知を貪欲に探求し続けることも重要でしょう。

Written by H.Owa


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